「東京はひとつ」で更に前進を 東京民医連第51回定期総会開く
「東京はひとつ」で更に前進を 東京民医連第51回定期総会開く
3月23・24日の両日、クロスウェーブ府中において東京民医連第51回定期総会を代議員199人の参加で開催しました。
今総会は、民主党政権が国民の期待を次々に裏切り、消費税増税、TPP参加をはじめ自公政権以上に財界・米国べったりの「構造改革路線」をつき進もうとしている情勢について認識を一致させ、貧困と格差をこれ以上放置せず、必要な社会保障が誰にもいきわたる「新しい福祉国家」を目ざすことを呼びかけました。そして、日々の医療・介護活動そのものと、その中からつかみ取った運動へのとりくみが、地域を支え、情勢を変えてきたことに確信をもち、今後2年間の課題に挑戦する方針を確認しました。
総会スローガン
○ 住民に寄り添う震災復興、原発ゼロ・消費税増税反対・TPPへの不参加、核も基地もない平和な福祉・防災都市東京をめざそう
○ 超高齢社会と向き合い、貧困と格差のない、だれもが安心して住み続けられるまちづくりを共同組織とともにすすめよう
○ 東京はひとつ、医療と介護・福祉の実践、経営活動の前進、後継者育成を推進し、第五次長期計画をつくりあげよう
石川会長あいさつ
東日本大震災、福島の原発事故から1年が経過しました。2万人近い犠牲者、いまだに行方不明の方も多く、また数十万人が避難生活を続けています。今回の災害に対し東京民医連は震災の翌日から様々な支援活動を継続しました。3月には『被災者とともに歩んだ一年』というパンフレットを作成しました。支援に行かれた方、また厳しい職場の体制の中、送りだしていただいた方々、本当にご苦労様でした。
東京の課題として
震災の問題、私たちはこれを「東京」の課題としても捉えなければなりません。中央防災会議が想定した東京湾北部地震が発生した場合の被害想定は最悪で死者1万1000人、建物の全壊・焼失は約85万棟とされています。さらに「4年以内に70%の確率で関東直下型の地震が起きる」あるいは「東京都心でも震度7の地震が発生する可能性がある」という報告もあります。各事業所における建物の補強、補助電源、水の確保、通信手段、運送手段、透析や在宅患者さんへの対応などハード面、ソフト両面から整備が必要です。
原発事故による県外への避難者は6万人を超えているといわれ、除染や農業の状況をみても「収束」といえるような状態でないことは明らかです。私たちは避難されている方やいわゆるホットスポットの住民の健康調査や相談に積極的に取り組む必要があります。地域で「原発ゼロ」をめざす一致点での活動を強めていきましょう。
国政の問題では
国政の問題では政権交代した民主党への失望が広がっています。TPPへの参加表明、沖縄の米軍基地問題、東日本大震災、原発事故への対応、社会保障と税の一体改革による消費税率の引き上げと社会保障切り捨てを強引にすすめようとするなど、アメリカ、財界の言うがままの政権になりはてました。そういったなか、橋下氏のような問題を単純化して敵を作りだし、攻撃することで支持を得るいわゆる「劇場型」政治に多くの無党派層の支持が集まる状態にもなっています。
都政の問題では
都政の問題です。石原知事がこの間おこなってきた東京都の医療・福祉の切り捨ては枚挙しきれません。災害時の医療についても「限られた医療資源を効率的、効果的に活用する」などと開き直っています。
都内で立て続けに「孤立死」事件がおきました。これは氷山の一角です。各事業所で治療、通院の中断などに対する機敏な対応、また地域全体の問題として共同組織での見守り活動や、行政とも協力した取り組みなどすすめていかなければなりません。
東京民医連として
東京民医連内病院のリニューアルの課題として、現在、東葛病院が土地を確保し、立川相互病院も医療構想や土地取得など具体的な検討に入っています。これから、当該法人、東京民医連の総力をあげて成功させていかなければなりません。また、今期は医師の臨床研修問題に関して従来のブロックを越えて東京民医連内に2つのグループを構成し、「東京はひとつ」で大きく前進した2年間だったと思います。常勤医師数も増勢に転じました。これから様々な活動を東京民医連の力を結集して前進させていかなければなりません。
51期の重点課題
今回の総会方針では51期の重点課題として、(1)第4次医師政策に基づき、医師の確保と養成をグループでの連携強化で成功させよう (2)看護師の確保と養成、訪問看護の拡大に力を入れよう (3)厳しい経営をどう乗り越えるか (4)保健予防、医療、介護の総合的な活動を展開しよう、としています。
代議員のみなさんが方針案を豊かなものにするために2日間、活発に論議していただきますことをお願いいたします。
貧困と格差拡大を放置せず必要な社会保障を誰にでも
下正宗副会長の開会あいさつの後、議長団をはじめ総会役員を選出し、総会が開始されました。
石川会長のあいさつ(要旨別掲)に続いて、来賓として窪倉みさ江・全日本民医連副会長、松本秀典・東京地方労働組合評議会事務局長、吉良よし子・日本共産党参議院東京選挙区予定候補の3人の方にあいさつをいただきました。
千坂和彦事務局長より、第1号議案「第51回総会方針」についての理事会報告がおこなわれ、第2号議案「規約の一部改正」、第3号議案「勤労者医療事業協同会事業に関する提案」、第4号議案「決算報告」、第5号議案「予算」、第6号議案「役員選出に関する提案」がありました。
各議案の提案を受けて、午後は組織小委員会と8つの分散会に分かれ討議と各事業所等の活動報告で深められました。
座長団会議報告302件の発言
2日目の全体会では、各分散会での討議をふまえた座長団会議の報告を受けました。
座長団会議では、8分散会に代議員・評議員・理事・共同組織など247人が参加して、302件の発言で議案を深めさらに豊かにする討議がおこなわれたこと、字句上の修正や正確性を求める意見、補強意見が出されたことが紹介されました。
全体会では、17人が発言しました。孤独死・孤立死を生まないまちづくりの実践や今後の課題、放射線汚染対策・ぜん息医療制度を守るたたかいが報告されました。
確信を深めて元気もらった
また、セラピストの育成の課題、看護労働実態調査の報告、医科・歯科・介護の連携、経営改善・中小病院の医療構想、HPHの意義、ブロックの診療所相互点検、医師の確保と養成など、多岐にわたる発言がありました。分散会での発言と合わせて、参加者の「確信を深め、元気をもらった総会だった」との感想がありました。
民医連の使命発揮し奮闘を
討議を受けて、千坂和彦事務局長は総括答弁に立ち、「分散会と全体会で各事業所での様々な活動が報告された。方針案についていくつかの質問や要望、記述の正確さや深さを求める意見があったが、大幅な修正意見はなかった」とし、最後に「民医連創立から58年の歴史をまとめた『無差別平等の医療をめざして』が全日本民医連から刊行された。私たちの歴史を学びましょう。時代は変わっても、患者・利用者の要求に応えて医療・介護を展開してきたこと、民医連が何のため誰のためにあるのか、その使命は変わりません。最も困難な人々に寄り添い、今後2年間、全力で奮闘しましょう」と結びました。
各議案とも全会一致で採択
資格審査委員会の総会成立宣言後、各議案の採決に移り、各議案とも全会一致で採択されました。
総会にあたって、30年勤続者への感謝状が石川徹会長より授与され、代表して小豆沢病院の伊藤深雪さんが、思いの込もった謝辞を述べられ感動を呼びました。
選挙管理委員会から、第51期の役員選挙の結果、全員が信任された旨の報告がありました。50期をもって退任される役員を代表して櫛田葉子前副会長があいさつをしました。
新任役員の紹介の後、特別決議を採択し、根岸京田副会長の閉会のあいさつで2日間の総会を終了しました。
(第51回総会決定集は6月発行予定です)