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被ばく地としてヒロシマ・ナガサキと並び国際語〝フクシマ〟となった福島は、公害の原点・ミナマタの教訓を生かせるのか▼全日本民医連学術・運動交流集会の環境問題分科会で大阪と新潟と東京から水俣病検診の取り組みが報告された。そして、3人の報告者が、「水俣の教訓を福島に」と結んだ▼水俣は発生初期に対策を取らず被害を拡散し、地域住民の健康調査で被害状況を国が明らかにすることもなかった。そして地域での線引き、年代での線引きで被害を過小評価し、幕引きをはかろうとしてきた▼10月23日には関東地協で4回目になる水俣病検診が川崎の協同ふじさきクリニックを会場に実施された。水俣病被害者特別措置法の申請のための検診で関東在住の熊本、鹿児島、新潟出身者を対象にしたもの。43人が受診し、41人に水俣病特有の所見を認めた。全身に及ぶ感覚障害など症状の重い人の多いことに診察にあたった医師が驚く。1月には九州で500人規模の検診を行う。特措法の締め切りを許さず、すべての被害者救済をめざす活動でもある▼そしてフクシマ。水俣病検診に携わった戸倉直実医師(東葛付属診療所)が「福島と関東のホットスポットと影響が少ない関西で、長期にわたる子どもの健康調査は民医連だからこそできる」と同分科会で訴えた。(ゆ)