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みんいれんTOKYO(機関紙)1面の記事の抜粋です

若い女性に増加傾向 ワクチンで 6割程度予防可能

佐藤典子医師
佐藤典子医師

 子宮頸がんは、若い女性に多く発生し、最近増加傾向にあります。
 子宮頸がんのほとんどは、ヒトパピローマウイルスHPVというウイルスが原因であることがわかってきました。性的接触により、HPVは女性の8割が一生の間に一度は感染するといわれ、非常にありふれたウイルスです。
 HPVの一部の型が子宮頸がんの発生に関係しています。そこで、ウイルスの感染を予防するワクチンが開発されました。現在日本で使用されているワクチンは、発がんに関係する16型と18型の感染を予防するもので、このワクチンで6割程度のHPV感染を予防でき、将来的に子宮頸がんの発生を減少させることが期待されています。
 子宮頸がんワクチンについて注意しなければならないことをまとめてみました。
 (1)感染を予防する目的であるため、性交開始前の接種が推奨されていること。他の性感染症予防について等必要な性教育をおこなうこと(2)HPVの感染のすべてを予防するわけではないので、子宮がん検診は必ず受ける必要があること(早期発見で子宮摘出を免れます)(3)すでに感染したHPVを排除したり、病気の進行を抑える効果はないこと(4)新薬であるため、ワクチンの効果持続期間、長期的な副作用については今後のデータの蓄積が必要であること(5)このワクチンは3回接種が必要で約5万円の自費診療であり、経済的理由で接種できない人が多いと思われる。
 子宮がん検診の無料化、ワクチン価格の値下げ、ワクチン希望者への公費負担など、対策が必要です。
(立川相互病院産婦人科科長・佐藤典子)