東京民医連

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みんいれんTOKYO(機関紙)1面の記事の抜粋です

関東水俣病検診 49人が受診 関東地協主催

46人に特有の身体所見 救済対象地域外や69年以降誕生者も

 昨年の水俣病現地大検診と関東水俣病検診の実施、東京訴訟が各方面に大きな反響をよんでいます。

受診者から当時の様子などを聞きとるスタッフ
受診者から当時の様子などを聞きとるスタッフ

 昨年9月に実施された不知火海沿岸地域の水俣病大検診は、水俣病をめぐる情勢に大きなインパクトを与え、国は水俣病にかかわる訴訟では初めて、ノーモア・ミナマタ熊本訴訟の和解のテーブルにつき、和解協議が開始されました。
 さらに、一人でも多くの被害者の救済につながる和解を求めるために首都圏に在住する水俣病被害者の存在を明らかにすることの意義は大きく、2月7日、不知火海沿岸地域から関東地方に移住された方を対象に、中野共立病院附属中野共立診療所で水俣病検診を実施しました。

●医師12人、職員77人 医学生なども参加

 今回の検診は実質的な準備期間が1カ月間と短く、当初検診受診者の目標を30人としていましたが、1月22日に実施した環境省記者クラブでの会見の内容が新聞、テレビで報道されたこともあり、検診予約が50人と目標を超えました。
 検診のスタッフとして、医師12人をはじめ77人の職員(関東地協の各県連からと、東京民医連から53人、熊本民医連から高岡滋医師、藤野糺医師をはじめ6人参加)、医学生10人、看護学生2人、水俣病東京の会4人、弁護士7人が参加しました。
 検診には熊本県、鹿児島県出身で35歳から77歳までの49人が受診し、46人に水俣病特有の身体所見を認め、19人に認定申請の診断書、23人に保健手帳申請のための検査所見書を発行しました。

●50年近くも前から両手の感覚不安定

多くのマスコミが取材に訪れた
多くのマスコミが取材に訪れた

 水俣病の所見があった方のなかには、水俣病の救済対象地域外や国が新たな水俣病患者発生はないとしてきた1969年以降に生まれた方がそれぞれ3人含まれています。
 問診では受診者から「曲がった太刀魚が海流に乗って沢山流れてくるのを取って食べていた」「目にする猫はほとんど奇形だったので、それが当たり前と感じていた」「実家が魚の加工品店で、店をたたむことになり家族の確執も生まれた」「祖父が魚の行商をしていて、地域の人から非難され続けていた」など、当時の不知火海沿岸地域の生活や「50年近く前から両手の感覚が不安定で、車の運転ができなくなった。こむら返りはしょっちゅうある」などの症状が語られました。

まとめの会議で発言する高岡医師
まとめの会議で発言する高岡医師

 受診者49人のうち40人は初めて水俣病の検診を受けた方で、これまで検診を受けなかった理由に「情報不足」をあげられる方も多く、首都圏移住者には患者救済にかかわる情報が得られず、救済の対象から放置され続けている、潜在する水俣病被害者が存在することが浮き彫りになりました。
 当日は、マスコミ13社が取材し、今泉貴雄医師、高岡滋医師が検診後におこなった記者会見の内容が各紙で報道され、NHK総合のニュースで検診の様子が放映されました。
 翌日から東京民医連事務局に問い合わせが続き、4月11日(川崎にて開催)に予定される2回目の検診に向けた取り組みが開始されました。

ノーモア・ミナマタ 東京訴訟を提訴

“ノーモア・ミナマタ”と、東京地裁へ提訴する原告団(2月23日、東京地裁前)
“ノーモア・ミナマタ”と、東京地裁へ提訴する
原告団(2月23日、東京地裁前)

 今回の検診の準備を一緒に進めてきた水俣病不知火患者会は、ノーモア・ミナマタ訴訟によってすべての被害者の救済をめざし、ノーモア・ミナマタ熊本訴訟(原告2126人)、同近畿訴訟(原告12人)に続き2月23日、同東京訴訟を東京地裁に起しました。今回の検診受診者から13人が加わり、東京訴訟原告団は23人になり救済を求めて名乗り出ました。
 提訴日の夜に開催された「東京提訴報告集会」には、熊本、近畿、新潟の各原告団の代表や、民主、共産、社民の各党の国会議員が駆けつけました。尾崎俊之弁護団長は「不知火海沿岸からの首都圏移住者には、公害被害者と知らされないまま放置されている人がいます。見捨てられてきた人たちを救済するのが訴訟の目的だ」と訴えました。