医療トーク どうせやるなら愉快にやろう
医療トーク どうせやるなら愉快にやろう
東京民医連医療活動・運動交流集会初日の医療トーク「どうせやるなら愉快にやろう患者さんといっしょになって考えよう」には159人が参加。日本プライマリ・ケア学会渡辺武会長の講演の一部を紹介します。
みなさんお若いですね。私は先日喜寿(77歳)を超えたんですが、年をとることも楽しいもんです。毎日聴打診を必ずやりながら患者さんとしゃべってる。しゃべらない患者もいます。どう話しかけるか、考えるのが楽しい。しゃべりすぎる患者さん、こっちが話す必要ないから楽ですね。
私は日本プライマリ・ケア学会の会長ということになってますが、プライマリ・ケアって何だろうか。これは初期の医療という意味ではなくて、基本の基本、医療の基本的なケアはどうあるべきかということ。
そこで大事なことは患者さんと一緒に悩むということ、共感が大事なんです。でも今は専門分化の時代ですからね、なかなか学べない。
今、病院経営が大変な時期ですね。日本の医療費は30兆円、一般診療24兆円。そのうち医者が使うのは半分の12兆円、あとは薬屋さんと機械屋さんが分けている。不整脈の薬でね、日本で薬価が90円、イギリスでは7円なんてものもある。こういう無駄な医療費はなくさないと。
それにしても医療事故がどんどん起こってる。統計では1万5千件です。どうなちゃってるんだろうかと思うぐらい多い。それは少しでも医療費を安くあげようとした結果なんです。
百床あたりの職員数は、欧州・185人、アメリカ・450人、日本は85人です。欧州の半分、アメリカの三分の一の職員数では、患者に対する説明や納得の医療なんて、千手観音でもないし、できっこない。
ではどうするか?
以前、日本健康科学センター構想というのを提案しました。一方通行じゃなくって、医者も患者さんも一緒になって勉強する、立派な施設をつくろうと。湾岸道路にお金がまわって計画は駄目になりましたけど。
みんなが日本の医療を良くしよう、医者まかせじゃなくて、日頃から自分たちの病気は自分たちで考え、そして助け合う、そういうふうなお互いの努力がなければやっていけない。
最後に一番言いたかったのは、日本の医療は世界独特だということなんですよ。これほど安い医療ってものはない。医療費はGDP比で米国14%、日本7%。一人当たり医療費は米国43万円に対し日本27万円。安上がりでありながらこれだけのことをやっていることに誇りをもってがんばりましょう。