東京民医連

東京民医連のご紹介

みんいれんTOKYO(機関紙)1面の記事の抜粋です

文化講演 平和と自由を愛して生きたい

 医活・運動交流集会2日目の全体会「平和と自由を愛して生きたい~俳優・演出家として、絵師として~」と題しての米倉斉加年さんの文化講演には、職員、共同組織の人たち161人が参加。折りしもブッシュ大統領がイラク攻撃開始を表明した日の講演。多彩な話題の中で特に熱の入った平和の問題を中心に要約して紹介します。

 以前NHKの健康シリーズに出たとき、健康のためにどういうことをしてるかって聞かれて、僕は真剣に言いました。「健康というのはどういうことか知ってますか?生きてることです」。
 僕の弟は戦争中、栄養失調で死にました。本当の健康とは、人としての命を生き抜くこと、それを阻むものは戦争でした、そう話をした。そう話していいかって聞いてもいいって言わないから、本番で突如としてやりました。
 今日はいささか嫌な思いで来たんです。ブッシュが戦争するという。それから前都知事。今日の新聞、「憲法なんかどうでもいい」って発言の記事ね。そして民医連に対する誹謗・中傷の類い。そういうことに負けちゃいけない。
 僕は完全なものは地球上に存在しないと思う。そしたらそこには医療事故もあるしミスもある。人間というのはそれをどういうふうに克服しみんなで考えていくか、そうですよね、間違いのないことってあるか?ないんです。
 アメリカは間違いだらけです。ベトナム戦争をやり、報復戦争でアフガニスタンを攻撃し、その時使ったクラスター爆弾はどうか?湾岸戦争のとき使った劣化ウラン爆弾はどうか?
 僕は戦争に正義も大義もないと思います。絶対正義はない。やっていい戦争なんてないです。
 僕が物心ついたときから戦争があった。そして小林多喜二を上演した。
 小林多喜二という人は今から70年前の2月20日に捕まえられて、その日のうちに殴り殺された。戦争に協力しないものは人間じゃない。そういう時代があった。
 平和を唱え、自由を愛することが国家への反逆とみなされる時代があったことを忘れないでください。
 それを思うと今の世の中と多喜二の時代はかぶさってくる。この芝居は連日満席で迎えられました。観客の熱い思いが舞台を盛り上げた。舞台は俳優だけで作るんじゃない、観客とともに作り上げる、そういう芝居でした。

 今、僕の故郷の福岡市の小学六年生の通信簿には「愛国心」という項目があるんです。そこまで手をつけようというんです。
僕は、民族の文化を誇りとし隣人と手を結んでいく、そして過去に犯した罪をきちんと認め、その責任を背負ってよりよい国を作っていくことが本当の愛国心だと思う。
 今言われている愛国心とは、何か敵対するために、戦争するために用意する心。とんでもない。「愛国心」一つとっても僕らは騙されちゃいけない、きちんと見極めなければいけない時代じゃないのかなと思います。