「なぜ医師になるのか?」井上裕次郎

井上裕次郎 【近畿大学 2012年卒】みさと健和病院 医師

はじめまして、みさと健和病院総合診療内科で後期研修医をさせていただいています井上裕次郎と申します。

これをご覧になっているみなさんは既に医学生の方もいれば、医学部受験を目指して頑張っている方だと考えております。とはいえ、医師になりたい思いが色褪せることがなければ、近い将来、医師になるであろうと確信しております。その過程で医学生となり、初対面の方に会うと必ず聞かれる質問があります。それは「なぜ医師になりたいのか」です。

今の皆さんはどう答えるのでしょうか?自分や家族の病気の経験から医師を目指したり、世界中で不遇な人々を助けたくて医師を目指す方もいらっしゃるかもしれません。真面目なみなさんほど、この質問に対して気持ちが落ち込んでしまったりしていないでしょうか。そんなこと気にしなくたってかまいません。立派な答えなんかなくたっていいんですよ。親が医者だから、学校の成績が良くて勧められたから、なんとなくでも全然かまわないです。

 

受験生は忙しいのです。ただ、大学生になり、自由な時間が今までに比べてずっと増えます。そうした時にさっきの質問を自問自答し、たくさんの人々、できれば、病気に苦しむ人々の声を実際に聞く機会を作る努力をしてください。そういった経験を積めば、きっと問いの答えを見つけ出せるかもしれません。なぜなら、他の職業に比べて、対象としている人々(医師は患者さん)の声を聴くという満足度やアンケートを聞く機会がほとんどありません。いわゆる、マーケティングです。その理由として実際には日常業務が忙しすぎるのが原因の一つであると考えます。

 

だから、時間の自由が許される学生時代に多くの困っている人々の声に耳を傾け、自らの医師像、人間性を研磨してください。そのことが学生時代の勉強の頑張り、そして、医師になってからの困難に立ち向かう心の支えになることを願って終わりとさせていただきます。近い将来、病院で会えることを楽しみにしております。そのときに「なぜ医師になりたいか」について話しましょう。

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