本来、都が担うべき公共・公的サービスの民間委託が進み、
ただでさえ少ない公務員の数もさらに減りつづけています。
自然災害が多発し、新型コロナウイルスが猛威を振るう中、
「いのち・健康」を守る自治体としてのあり方が改めて問われています。
都内自治体で働く臨時・非常勤職員
「新型コロナ受診相談窓口」の役割を担う保健所が「労務負担過重」に
避難所の設置・運営などで、公務員の数が少なすぎると問題に
2019年10月の台風19号による大規模水害→都内1060カ所(14日午前5時時点)に避難所設置。避難者数7万6235人(足立区未集計)
貧困、格差拡大は健康にも影を落としています。
市区町村で健康寿命に差があり、一向にその差が埋まらない根底には、
非正規雇用と正規雇用との賃金格差があるとみられます。
2016年の最大値・最小値は…
2010年と2016年の健康寿命データと比べてみると…
6年たっても差は縮まらず。背景には収入(賃金、年金)等の格差が
〜以上、「都健康推進プラン21(第二次)中間評価報告書(2019年3月)」より
「暮らしの余裕」の設問で、
「今の暮らしではまだまだ余裕がない」「とてもやりきれない」と回答した人の割合は…
非正規の半数以上が暮らしに余裕がないと感じている
「都民生活に関する世論調査(東京都生活文化局2019年6月)」より
2040年、東京の一人暮らし高齢者数は116万人(2015年比1.5倍)になるとみられます。
うち一人暮らし高齢者世帯の割合は、45.8%(2015年40.8%)にのぼります
[社会保障・人口問題研究所推計]。
うち居宅で過ごすのは6割以上に上るため、介護保険を充実させて居宅での支援を強め、グループホームなどの高齢者施設も増やし、早期診断に向けた健診制度等を整備することも必要です。
熱中症死亡者 |
孤 独 死 |
一人暮らし高齢者が低家賃物件に転居しようとしても、孤独死をおそれ契約を断わられる例も。その結果医療費が払えず亡くなった例も報告されています。都営住宅の建設、家賃補助制度の創設も必要です。
全日本民医連の「経済的事由による手遅れ死亡事例調査2018」に基づき、
東京民医連では首都圏の問題として「住居の問題」を加え、
「東京民医連 13事例の特徴」(下表)をまとめました。
東京民医連 13事例の特徴─ 貧困、制度の限界、孤立、住居 ─ |
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健康保険証を持っていても手遅れ死亡が起こる要因 |
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全日本民医連のまとめ |
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東京特有 |
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これを踏まえて東京民医連の提言と次の4つの提言をまとめ、
東京都や自治体への要請につなげました。
社会的孤立を防ぐため、地域でさまざまな組織が連携できるよう制度改善を行うとともに
福祉力の向上を目指すとりくみが必要です。
いのちや健康を守る基本的責任は、あくまで国と地方自治体に!
[ とりくみ事例 ① ]各地の相談活動・無料低額診療事業 東京ほくと医療生活協同組合 地域のみなさんといっしょに相談活動にとりくみ、自治体要請を行なっています。 |
[ とりくみ事例 ② ]民医連の多彩な共同組織活動 子ども食堂 医療生協の組合員さんや健康友の会のみなさんもとりくむ子ども食堂に、東京都は1食堂あたり年間24万円を上限に補助。2018年は117カ所が対象に。 |
15.5兆円(一般会計7.4兆円、特別・公営企業会計8.1兆円)という国家予算に匹敵する
財政を司る東京都の首長として、現知事はふさわしいか?4年間の実績を踏まえて考えてみましょう。
2016年7月 | 都議会自民党を「ブラックボックス」と批判し都知事に当選後、3つのシティ─セーフ・シティ(安心・安全)、ダイバー・シティ(一般的表記は「ダイバーシティ」女性・障害者・高齢者も生き生きと暮らせる)、スマート・シティ(環境・金融の先進都市)構想を掲げる |
2017年7月 | 都議会選挙で現知事与党の都民ファーストの会が第1党に |
10月 | 衆議院選挙に「希望の党」代表として臨むも「排除します」発言で敗北 |
2018年10月 | 「築地は守る、豊洲は活かす」を反故にして、築地市場の豊洲移転を強行 |
2019年12月 | 全都立病院(公社を含む)の独法化方針を表明 |
大型開発を推進 | 激化する都市間競争を勝ち抜く東京の「稼ぐ力」をさらに高めるとして、福祉切り捨てにもつながる大型開発を継続 |
都立病院独法化の 方針 |
公共・公的サービスの産業化が進むなか、「効率的・効果的な運営ができる」と根拠に乏しい説明で独法化を打ち出す |
羽田空港 新着ルートに合意 |
米軍横田基地の空域規制の影響で、2020年3月29日から都心上空を急角度3.45度で降下するルートを承認。羽田空港の機能強化を図る国への協力姿勢が鮮明に |
米軍横田基地への オスプレイ配備容認 |
国に丁寧な説明を求めるとしていたが、結局は容認 |
カジノ問題では あいまい姿勢 |
一方で調査費等の予算は計上。知事選後に臨海部青海地区での推進の可能性も |
一人ひとりのいのちと健康を守り、福祉を充実させていくために、
患者さんやご家族とともに運動を推し進め、都政への提言を重ねていきましょう。
東京都大気汚染医療費助成制度(2008年)
大気汚染による喘息等の疾患に苦しむ患者さんが、東京民医連の医師、職員、共同組織のみなさんの支援で、国や都・自動車メーカーの責任を問う裁判を命がけでたたかい、その和解としてできた制度(2015年に制度改悪、2018年実績延べ55万件・19.4億円)。
保育園増やせ!の声が届いた
都有地活用などで、4年間で469カ所の認可保育園が増えました。ママパパが声をあげてきたからこそ、実現しました。一方で小池都知事は、待機児童の定義を変更しながらも「四半世紀ぶりに待機児童は減少」と成果を強調しますが、実際には隠れ待機児童を含めた約2万3,000人の存在が明らかに。まだまだ足りません。
今後もこうした運動をさらに広げていきましょう!
特に介護職員の確保と育成、特養(特別養護老人ホーム)など必要な施設を整備
開発優先の都政から
転換させるよう要求が必要。
くらしと福祉を優先する都政の実現を!