東京民医連

輝け看護!

みんいれんTOKYO(機関紙)の「輝け看護!」コーナーから

看護師と介護職の連携で実現

 看護小規模多機能「いちごいちえ」(以降「いちご」)開設から、7ヵ月が経ちました。たんぽぽ訪問看護師といちご介護職の連携により実現した90代女性Aさんのエピソードを紹介します。
 Aさんは肺がんの終末期で酸素吸入をしていましたが、病状が進行し呼吸困難感とADLの低下により自宅入浴が難しくなったため、いちごで週1回入浴、週2回の訪問看護でサポートしてきました。
 元気だった頃のAさんは月1回は美容院へ行きとてもお洒落な方でした。ある日「いちごでパーマがかけられたら、そのままお風呂にも入れて一石二鳥だよね?」という言葉が聞かれました。
 私が職場で「いちごでパーマって可能かな」と大きな独り言をいってみたところ、先輩看護師が「Bさんのところにきている美容師さんは確か、パーマもかけてくれるはず。会社名はCだった」という情報を得ました。訪問看護に異動して3年経ちますが、先輩たちの引き出しの多さには驚かされます。
 早速Cへ電話しリサーチ。いちごスタッフに相談すると、「パーマ液の匂いや人の出入りなど、他の利用者さんの迷惑にならない曜日と時間であれば是非」と快諾。Cにも、Aさんの症状と急変により中断する可能性があることを納得いただき当日の流れを確認しました。
 実は目途がたつと、看護の押し付け?自己満足ではないか?と不安になり、Aさんと家族のお気持ちを再度確認し、いよいよいちごでのパーマが実現しました。
 当日は呼吸困難感に備えて直前に麻薬を服用、看護師と家族が付き添い、カットからブローまでフルコースで実施。きれいになったAさんは、主治医と笑顔でシャッターに納まります。「ずっとボサボサの髪を気にしていたから」と娘さんの笑みもこぼれました。
 後日、パーマを話題にすると、5分前のことを忘れてしまうAさんが髪を触りながらニヤリと笑った。その三週後、Aさんは自宅で息を引き取りました。Aさん、天国でもきれいにしていますか?
(たんぽぽ訪問看護ステーション・2018年4月号掲載)