東京民医連

輝け看護!

みんいれんTOKYO(機関紙)の「輝け看護!」コーナーから

救急シミュレーションの取り組み

 立川相互ふれあいクリニックの内科外来は、様ざまな疾患を持った患者が来院します。待ち時間に意識消失し倒れたり、急に痙攣発作を起こしたり、転倒による外傷など予測のつかないことも起こります。今回起こった事例を振り返り、シミュレーションをしてみようという意見が看護師から聞かれ、取り組むことになりました。
 シミュレーションにあたり、患者役と発見者、カウンター、処置室それぞれの看護師役と医師役などの役割分担を決め、発見から救急外来へ移送までの一連の設定を決めました。13人の看護師が各々経験できるように5回行いましたが、いつもと違う緊張感があり、予想以上に役者になりきり真剣そのものでした。そして終了後のカンファレンスでは、反省点や気づいた点を出し合い、たくさんの問題点が見えてきました。
 ストレッチャーの場所、備える手袋、衣類袋、マスクの設置、処置室のレイアウト、モニター使用の不便さから新たに購入設置、記録用紙の作成など、次々と改善しました。
 シミュレーションという疑似体験によって危険意識の共有ができ、改善していくことで自信にも繋がり、同じ経験をすることで一貫した急変対応ができるようにもなりました。
 2階フロアだけにとどまらず、3階、4階フロアでも行ってみたところ、代謝科では救急カートにデキスター設置、4階では点滴セットの準備、処置スペースの確保など、そのフロアならではの改善点もありました。
 繰り返し学習した結果が、活かされたできごとがありました。患者さんの唾液を拭う様子とこもった声から、看護師は「急性喉頭蓋炎」を疑い、医師へレントゲンオーダーを依頼、画像は救急医師へ報告。ダイレクトにER誘導。30分の中で看護は観察、判断、迅速な行動で患者さんに対応することができました。
 シミュレーションの取り組みを職場全体として行ったことは、スタッフ一人ひとりのモチベーションアップにつながり、よりスムーズな急変対応と一貫した看護ができるようになったと考えます。
 (立川相互ふれあいクリニック・2016年10月号掲載)