東京民医連

輝け看護!

みんいれんTOKYO(機関紙)の「輝け看護!」コーナーから

本人の思いくみ取り在宅へ

 老健施設には在宅復帰・在宅療養支援機能を高めることが期待されています。
 今回、全介助レベルで入所していた利用者の家族が在宅介護を希望されたケースについて紹介します。
 A氏、95歳、要介護5、高血圧症、脳梗塞後遺症、変形性膝関節症などで当施設のデイケア、ショートスティを長年利用していました。2012年6月から入所しています。
 食事は、ミキサー食トロミを使用し全介助。ムセがあり介助に注意を要します。排便コントロールがつきにくく、定期排便の援助をしています。
 5月上旬より、口の開きが悪く、食事量も少ない状態でしたが、ご本人は「食べたくない」と、はっきり言い、顔をしかめるようになりました。
 嚥下機能は悪くなく、老衰によるものか?ということでご家族に説明し、今後の確認をするが、「胃瘻は考えない」との判断だったので経過をみつつ、ご家族に面会の際食事の様子を見ていただくことで対応していました。
 入所期間が長くなっており、特養への申し込みをしていたが目途はたっていない状況。他の老健には腎機能が悪く断られています。
 ご家族から、「T施設に見学に行ってきた。いい感じであったが、無理そうなので家に連れて帰ろうと思う。家の片付けがあるので、少し時間はかかると思いますが」と、話がありました。
 ご家族としても他の施設への入所より、さつき苑へのショートスティやデイケア、短期間の入所の利用を行いながら介護されることを望まれました。その後、食事介助に来て経験してもらい、栄養指導を実施。また、本人へも家族から家に帰る話を伝えると、初めは遠慮がちでしたが、何回か説明すると「本当?」と笑顔が見られ嬉しそうにしていました。
 「家に帰りたいが家族に迷惑をかけたくない」「一人暮らしは心配である」など理由は様々ですが、家に帰ることができないでいる方も多くいます。本人に寄り添うことで思いをくみ取り、ご家族にも少しでも安心して在宅で介護できるよう援助していきたいと思っています。(志村さつき苑・2014年11月号掲載)