東京民医連

輝け看護!

みんいれんTOKYO(機関紙)の「輝け看護!」コーナーから

ふえつづける私の「目」

 私は看護学生の時に出会った本がきっかけで自分自身看護を進める上での「目」をふやしてきた。その本には「人間には三つの目が大切だといわれるのです。それは見ぬく目、見つめる目、見のがさない目です」とあった。
 講義で「看護とは手と目で患者を護ること」と教わることもあった。看護学生の私の中で「看護とは手とみぬく目、みつめる目、みのがさない目で患者を護る こと」という看護観らしきものができた。その後、看護師や助産師、看護教員として勤務をしながら、「みまもる目」「みなおす目」「みとどける目」「みつづ ける目」「みわたす目」「みいだす目」という目がふえた。
 現在は診療所勤務をしている。初めての診療所勤務に師長や先輩は「まずは患者さんの顔と名前を覚えていくといいよ」とのアドバイスをくれた。学生の時 「心筋梗塞の○○さん」ではなく、「○○さんが心筋梗塞になった」という視点でみることがその人を捉えられる第一歩ということを教わったことがある。
 師長や先輩のアドバイスは患者を知る第一歩であると改めて感じた。診療所勤務を通し、状況を予測しながら「みとおす目」分析的に「みすえる目」が私の中でふえた。
 ベナーは「気づかうことによって人は状況のうちに身を置く。例えば子どもを養育する『テクニック』は、ある基本的なレヴェルの愛着と気づかいが前提にな ければ発揮されない。それと同様、看護婦を熟練看護婦たらしめるものは一体何かを研究した私たちは、単なるテクニックと科学知識だけでは不十分だという結 論を得た。実に気づかいこそ、人間の熟練実践にとっての必須条件なのである」と述べている。
 「看護とは手とみぬく目、みつめる目、みのがさない目、みまもる目、みなおす目、みとどける目、みつづける目、みわたす目、みいだす目、みとおす目、み すえる目で患者を護ること」という私自身の手と目で患者を護っていけるようにこれからも研鑽を積んでいきたい。
(扇橋診療所・2012年9月号掲載)