東京民医連

輝け看護!

みんいれんTOKYO(機関紙)の「輝け看護!」コーナーから

ここで自分らしく生きたい

 城西診療所は、2年前から半日だけの診療に変えました。往診も共立診療所に移行し、「小さな診療所」になりました。しかし、地域の患者さんは高齢化し独 居率は増え続けています。そんな中、もう一度往診に踏み切りました。J郎さんは、体制の厳しい中でも診療所のチームの力と友の会の方々の支えもあって「J 郎さんらしく生活」しています。
 J郎さんは88歳で一人暮らし。秋田で生まれ、16歳の時から建具師として働いてきました。仕事仲間に誘われ20歳前からタバコを一日80本も吸い、入れ墨を入れ、酒も飲んだ…。彼女のことを聞くとフフフ…と笑い、「いたけどね…」と独身を貫きます。
 心筋梗塞後の心不全などで17年前から城西診療所に通院。診療が始まる1時間も前にピシッとした身なりで来院し、職員が出勤するとニコニコ顔で「おはよう」と迎えてくれていました。
 そんなJ郎さんを支えていくためには地域でのつながりが大切と、役員さんたちはJ郎さんも役員に迎え入れました。みんなとお話するのが楽しくてと役員会は無欠席。
 昨年3月、休日に自宅で脳卒中をおこし倒れたとき、とっさに思いついたのが役員さんの顔。電話をかけて助けを求め、駆けつけた役員さんに付き添われて救 急病院へ。入院に必要な物の準備もすべて役員さんが対応してくれました。リハビリを終えて、11月に無事退院できました。しかし、肺ガンも見つかったので す。年齢や体力からみて手術や抗ガン剤治療は無理と言われ、酸素療法など対症療法をおこなうこととなり、訪問診療・訪問服薬指導が始まりました。
 何とか家だけにじっと一人でいる時間を短くしたいね!…所長や看護師の思いが、友の会ボランティアで主催している月に一度の昼食会につながりました。当日は玄関先に出て迎えを待っているほど…。みんなに会えることがうれしくて仕方ない様子です。
 薬の飲み忘れや、酸素を外していることもあります。毎日の見守りやケアが必要でした。月曜は酸素をつけたままデイサービスへ(入浴と麻雀を楽しむ)。火・木は訪問看護。水・金は訪問介護。土は訪問入浴。宅配弁当が週に2回届きます。
 訪問して帰る際は「ありがとう、気をつけてね」といつもやさしく声をかけてくれるJ郎さん。「ここに居たいんだ」という願いを「いざ」というときまで支 え続けていきたい。私たちを含めた地域のネットワークの中で、みんなで叶え続けてあげたい…。そんな思いを持ちながら、きめ細やかに見守って「何か」の時 に首尾よく対応できる「小さいながらもピリリと…」の診療所でありたいと思っています。
 (城西診療所看護師・2010年8月号掲載)