東京民医連

輝け看護!

みんいれんTOKYO(機関紙)の「輝け看護!」コーナーから

家族と暮らし家から通う喜び

 透析治療は、週3回通院してくるところから始まります。1回に約4時間、それは台風が来ても祭日でも規則的におこなわれます。命を守るためです。私たち 透析室のスタッフは、患者さんが通院できる手だてを整えたり、家族の方の介護状況をみながらアドバイスしてきたりと、より良い方法で通院できるようにと対 応してきました。
 昨年、法人の看護介護活動交流集会で発表した事例をまとめるにあたり、長期に通い続けることの困難さと、家族をも含めたサポート体制の充実や、支える関係機関との連携の大切さを学びました。
 53歳のMさん(男性)は、糖尿病を原疾患として透析導入に至った患者さんです。導入時にはすでに脳出血後遺症で右不全麻痺と失語症があり、コミュニ ケーションがうまくいかない状況にありました。わからなくても声かけを多くしようと統一した態度で臨むようにしましたが、ご本人の意思を汲み取ることがで きず、いら立つことも多く、けいれん発作をおこすこともしばしばでした。
 家では、母親との二人暮らしでしたが、母親自身も脳梗塞の後遺症で車いす生活という。介護力としては大変厳しいものがありました。いよいよもって在宅は 厳しいかな、施設の選択の時かなと考え、母親が話をしたところ、泣いて「家にいたい」と訴えたと聞かされました。そんな本人の強い思いを尊重しよう。でも 母親の介護力にも限界がある。足りないところをヘルパーさんの援助で補おうとすると経済的に厳しい。じゃあ、ショートスティでの入院も組み込もうといろい ろ手だてを考えておこなってきました。
 どれもがうまくいきましたと言えない場面もありましたが、お互いに情報を発信したり受信したりしながら、ご本人にとって何が良いのかを見極めながらの試 行錯誤でした。家族と暮らし、家から通えることに喜びが見い出せるよう、これからも援助していきたいと思います。
(生協北診療所・2010年7月号掲載)