東京民医連

東京民医連のご紹介

みんいれんTOKYO(機関紙)1面の記事の抜粋です

「法人の枠を越え 東京は一つ」の取組みを

2010年度 経営検討会・病院長会議開く 法人・事業所の経験に学んで 打開策深めよう このままでは深刻な状態に

 東京民医連は協立医師協同組合が主催して、11月20日から21日、2010年度経営検討会・病院長会議を府中クロスウェーブで開催しました。

南雲経営委員長が基調報告

南雲経営委員長が基調報告
南雲経営委員長が基調報告

 クロスウェーブ地下ホールで開かれた会議は、まず南雲慎一経営委員長が基調報告。今回の会議開催の意義について4つの提起を行いました。
 続いて夏の参議員選挙以後の情勢と「生活保護と国民健康保険の実態」「医療機関の倒産と都立病院の統廃合」「救急車の状況」「日本の人口」について豊富な資料とパワーポイントを使って説明しました。
 続いて各法人・事業所の2009年度の決算概要と、2010年度上半期経営状況について報告。そのなかで、「2009年度は事業収益増によって経営改善しているが、財政面は悪化している」とし、「2010年度上半期は2009年度決算から大幅な後退となっている、このままでは深刻な状態に陥る危険性が大」と警鐘を発しました。報告は続いて「事業キャッシュ・必要利益の確保と資金繰りの安定」「大規模投資後の経営課題」「小規模法人の困難さ」について行われ、それぞれの法人・事業所の経験に学び打開策を論議しようと呼びかけました。
 最後に「共同事業の県連的な前進」「労務課題」について報告した後、「今年の総会で『法人の枠を越え、東京は一つ』を確認したが、経営改善の取り組みも、医師養成・看護師確保の課題も、社会保障・平和運動も、『法人の枠を越え、東京は一つ』で取り組みを進めていきましょう」と、結びました。

2つの指定報告と分散会問題提起

 続いて指定報告と分散会問題提起が行われました。指定報告は、みさと健和病院と王子生協病院から、問題提起は、小豆沢病院、東京健生病院、健愛クリニック、目黒医療生協から報告されました。

国保「再建」の大運動を 小池晃前参議院議員が講演

講演する小池晃さん
講演する小池晃さん

 午後は「参議院選挙後の情勢と社会保障『構造改革』」と題して、小池晃前参議院議員に講演していただきました。
 小池氏は最初に国会の状況を報告。柳田法務大臣の発言問題、事業仕分けの問題に触れ、「石にかじりついてもやってもらわなければならないのは、後期高齢者医療の廃止と普天間基地の無条件撤去」であると切り出し、民主党政権による社会保障「構造改革」の問題について、特に国保や介護の問題を例に上げながら説明しました。

介護保険と統合狙う

 後期高齢者医療制度の廃止を先送りにしてしまった問題では、75歳以上の会社員と社保の扶養家族を除く1200万人を国保に加入させようとしていることに対して、「これは何の問題解決にもならない」として、1割の利用料、給付費の50%が公費、保険料は現役世代と別立て、年金天引きによる保険料徴収といった「狙いは介護保険との統合」にあると、その狙いを指摘しました。

国保広域化の問題点

 続いて「そもそも、なんのための国民健康保険か」と国保の成り立ちと現状について説明。一般会計からの繰り入れが出来なくなる、保険料の減免制度が最低限に並べられるなど、国保広域化の持つ問題点を指摘し、「高すぎる保険料の引き下げ、国保の広域化路線ストップなど、今こそ国保「再建」の大運動を繰り広げよう」と呼びかけました。

地域包括ケアへ誘導

 もう一つのテーマである介護保険については、「要支援1、2や要介護1へのサービスは保険の対象外とする、自己負担を2割にする、低所得者の食住は介護保険ではなく生活保護で、など財界要求に沿った介護保険制度に変えられる。そして『地域包括ケア』へと誘導される」と狙いを説明し、介護保険の理念を説明しながら国の負担減らしが最大の狙いであると指摘。2012年の介護保険法「改正」に向けて「現場の実態をつかんで、安心できる介護保険制度への抜本的な改正実現に問題提起と運動を盛り上げよう」と呼びかけました。
 そのほか「介護労働者の低賃金実態」や労働条件を改善して雇用を生み出すことを提案。自治体がこの問題で責任を果たすとともに、国庫負担を増額させようと結びました。

暮らしの財源つくれる

 軍事費や大企業・大金持ちへの減税見直しなど「ムダ使いの聖域に切り込む」ことが財源をつくる上で大事だと報告し、最後に「暮らしの財源はつくれる、幅広い住民とともに運動を広げ、怒りの声をぶつけ、国や自治体を動かそう。そして、安心できる社会保障を再建し、住み続けられる地域をつくろう」と呼びかけました。

医療、介護・福祉の現状と展望 増子忠道医師が講演

2日目の病院長会議
2日目の病院長会議

 続いて、東京民医連理事会を代表して露木静夫経営・共同事業部長からのあいさつの後、東都保健医療福祉協議会議長の増子忠道医師から「医療、介護・福祉の現状と展望―在宅医療の歴史を踏まえて」と題しての講演を頂きました。
 増子医師は自身が実践されてきた地域医療、特に高齢者医療・在宅医療についてこれまでの運動や歴史について報告された後、中小病院の抱える問題に触れ、課題と問題提起を行いました。そして、介護保険制度の全面的見直しの実現、社会保障制度の谷間にある諸問題に真正面から取り組もうと呼びかけました。最後に「住民要求に応えて課題を設定し、経済的な土台を確立するために共同事業を推進しよう」と結びました。
 1日目の最後に医師養成問題に対する指定報告を2題行い、終了しました。
 2日目は12カ所に分かれての分散会と病院長会議が行われました。
 4つの分散会から報告を受け、根本公認会計士から講評をいただき、千坂和彦東京民医連事務局長の閉会のあいさつで会議を終了しました。