東京民医連

東京民医連のご紹介

みんいれんTOKYO(機関紙)1面の記事の抜粋です

救急搬送が有料化?

 「どうもこのごろ救急隊の対応がおかしい」。こんな看護師長の言葉で問題は見え始めました。
 柳原病院では04年3月に、結核感染の患者さんを他の病院に転送するため救急隊に依頼しました。ところが「法律が変わった。民間救急隊にお願いしたい」と転送を断られました。やむなく指示通りに依頼すると費用が約10万円に。
 話はそれだけではありませんでした。健生会の羽村相互診療所でも「医師が同乗しないなら転送できない」と断られ、問答の末やっと転送できたなど、あちこちで同様な事例が起こっています。
 東京都は昨年9月10日に、福祉保健局医療政策部長名による「民間救急コールセンターの試行に伴う協力について」を各病院管理者宛に発信しています。
 その背景には第2次財政再建プランによる都民生活切捨て政策があります。今回は「救急搬送業務」の6・2%を占める「転院搬送」に照準を合わせ、70%が医師の同乗なしで行っていることにも着目し、「是正」、つまり切り捨ての突破口にしようと狙ったものと思われます。
 11月30日に東京民医連では2人の看護師長を伴い、都と都議会各派への要請を行いました。対応した都の福祉保健局医療政策部の担当者は「タクシー代わりの使用例もあり是正したい」、しかし「民間救急コールセンターの責任は消防庁にあり、都に直接の責任はない」と曖昧(あいまい)な態度。
 そこで今度は消防庁への要請に。そこでは「救急車は緊急性があると認められたときに限定している」「医師が緊急性ありと判断すれば出動する」と発言。医師の同乗については「原則」としつつも、そのことは「判断基準とはなっていない」との回答でした。
 要請参加者からはこの間寄せられた事例を報告し、民間救急コールセンターの利用が半ば強制されている事を訴え。今後実態を調査するとの約束を交わして消防庁を後にしました。
 石原都政は財政削減を口実に、都民の命につながる施策まで犠牲にするつもりです。「救急患者が発生したら救急車を呼ぶ」、こんな事さえ犠牲にしなければならないのでしょうか。
 また、救急業務で日夜奮闘している救急隊は、都民になくてはならない存在です。民間任せでなく、今以上の体制の充実をこそ図るべきではないでしょうか。