日本精神衛生会 秋元波留夫会長があいさつ
日本精神衛生会 秋元波留夫会長があいさつ
東京民医連50周年記念レセプションには、日本の精神医学の発展に多大な貢献をしてきた医学会の重鎮、秋元波留夫氏(病体生理研究所創設者の故・秋元寿恵夫氏の兄)からのあいさつもありました。
日本精神衛生会 秋元波留夫会長のあいさつ
東京民医連創立50周年、おめでとうございます。本日は亡き弟・秋元寿恵夫に代わってごあいさつさせていただきます。
弟の略歴を紹介しますと、1938年東京帝国大学医学部を卒業。血清学教室、今で言う免疫学教室で研究者となります。ところが戦争という怪物によって、彼の生活は木っ端みじんに砕かれました。
731部隊に強制徴用され、そこで人体実験を見聞したことが、彼のその後の生き様に深刻な影響を及ぼしました。戦後731部隊の正体を暴露する本を出版しましたが、それは寿恵夫自身の懺悔(ざんげ)でもあったのだろうと思います。
1949年、念願の秋元研究所を開設、3年後に病体生理研究所となります。当時まだ未成熟であった臨床検査法の確立と、検査技師の教育・育成を目的としていました。とくに検査技師制度の確立は、弟の悲願でもありました。
東京民医連の結成には率先して参加し、原水爆禁止運動にも積極的に参加。94年、白血病で86年の生涯を終えました。
今わが国は、健康保険の改悪、戦争国家アメリカへの追随など、人の命を粗末にする政治が続いています。戦争の過ちを繰り返さないために何をなすべきか、正しくこたえなければならないと思います。
東京民医連が50年の貴重な歴史を土台に、これからの日本の未来を賦活(ふかつ)するため一層ご活躍されることを期待しております。