東京民医連

東京民医連のご紹介

みんいれんTOKYO(機関紙)1面の記事の抜粋です

新入職員 初体験に体当たり

 春。希望を胸に、多くの職員が入職しました。緊張しながらも瞳を輝かせる若者の姿に、職場が活気づいています。またこの時期、民医連ならではの研修もとりくまれています。思いがけない初体験に挑む新入職員の姿を紹介します。

ちょっと感動・他職種研修

 東葛病院に入局した医師のSさん。オリエンテーション早々から他職種研修が始まり、リハビリ・放射線・薬局・栄養科と、さまざまな職種体験に新たな発見と驚きを積み重ねています。
 4月日は同じ研修医のK医師とともに家政課研修。各病棟の寝具置き場に、不足しているシーツや寝間着を補充していきます。
 大学自治会活動や医ゼミを通じて、医学生の立場から臨床研修必修化の問題にとりくむなど、医学教育に関心をもってきたというS医師。毛布のカバーかけに苦戦しながらも、「大学病院ではこんな研修、考えられないですよ」と楽しそう。途中、看護助手による病室でのシーツ交換を見学。シャキっとしたシーツに身を横たえ、「ありがとう」と微笑む患者さんに、横顔がふっと緩みました。
 K医師は地域の人々に支援される病院、そしてプライマリ・ケア研修が充実していることに魅力を感じての入局。「栄養科の研修では、本当にたくさんの種類の食事が準備されていることに驚きました。患者さんがメニューを選べるお好み食まである。それぞれの職場を回る中で学ぶことも多く、ちょっと感動しています」と。
 S医師も「薬局では患者さんの負担を考えて、情報提供がされていたり、リハビリも患者さんの生活スタイルに合わせた援助を行っていました。それぞれの職種と患者さんとの関わりを知ることは、本当に大切ですね」と語りました。
 医療には、とくに病院では、本当に多くの職種・職員が働いています。それぞれの場面を通じて得た患者さんの情報を集め、チーム医療のリーダーとして治療に生かしていくことも、医師としての大切な役割です。その土台を培おうと、民医連では多くの病院で他職種研修がとりくまれています。

胸にぐっと・患者さんの話

 大田病院では城南保健生協と協力し、患者さんの自宅や地域の町工場を訪問して、病院への思いや生活と労働の実態に耳を傾ける地域フィールド研修を位置づけています。
 4月24日、患者のE宅に新人の看護師5人、薬剤師1人が訪問しました。Eさんはぜん息で大田病院にかかって二十年。東京大気汚染公害裁判の原告です。
 「発作がおきると、息ができないから本当に苦しくてね。この前は咳がひどくて圧迫骨折しちゃった。発作はたいてい夜中、だから夜眠るのが怖い」と。毎日飲んでいる山のような薬袋と、睡眠時に着用する酸素マスクも見せてくれました。
 そして大気汚染裁判にふれ「私の体は元には戻らない。せめて若い人たちに、私と同じ思いはさせたくない、きれいな空気を取り戻したい。そう思ってたたかってきたんですよ」と語りました。
 この話を聞いた参加者は「今まで公害の話はニュースとしてしか見ていなかった。Eさんの話を聞いて、胸にぐっとくるものがありました」と感想を述べました。
 最後にEさんから「いろんな患者さんがいるから、看護師さんは大変だよね。でも人の痛みは測れないもの。だから自分でどこまで理解しようと努力できるかだと思うの。嫌なことがあっても投げ出さないで、大田病院で頑張り続けてほしい」と、温かい言葉が送られました。