東京民医連

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みんいれんTOKYO(機関紙)1面の記事の抜粋です

西都保健生協病棟廃止し診療所へ

 西都保健生協で、23床の入院設備を維持してきた北多摩生協病院。大病院が建ち並ぶ清瀬市において、すぐに入院したいとき、また退院を迫られ行き場に困ったときなど、重要な役割を果たしてきました。しかしこの2月、思い切って病棟を廃止。診療所「北多摩クリニック」としてのスタートを切りました。
 病棟廃止に当たっては、多くの議論を経てきました。「せっかくあるベッドをなくさないで」という組合員の声も根強くありましたが、23床ではどうしても中途半端。入院の適応も限定されていました。
 しかも新しい医療法のもとでは、療養型病床に転換するにも狭すぎる。今ある設備を有効に活用することを考え、1階はこれまでの外来を継続して診療所に、2階は痴ほう老人共同生活事業・グループホームを今秋立ち上げる予定です。
 同時に外来強化をめざし、清瀬駅のすぐ近くに清瀬診療所を開設。電子カルテも導入し、この地域で外来・在宅中心の、より広い医療展開を考えています。
 北多摩クリニックの保坂幸男所長は、この大転換を「新しい医療を考え、すすめるチャンス」と言います。
 昨年11月、職員に提案した「医療構想」では、外来・在宅医療の充実で「かかりつけ医」としての役割を明確に、これまで以上に一人ひとりの利用者との信頼関係を築いていこうと呼びかけています。
 「患者さんそれぞれに自立した生活があります。疾病や医療はあくまでその一部なのに、医療者の都合や判断で食うな、飲むな、入院だ、手術だと型にはめてしまいがちでした。これからは皆さんに、どう生きるか、どのようにくらし、どのような最後を迎えるかを含め、自分自身と真剣に向き合ってもらえるよう、私たちがそのお手伝いをしていきたい」と、意欲にあふれています。
 職員に対しても、「みんなが主役です。自分の足で立ち、何が大切か、何がしたいかを考えてほしい。医療・介護の技術はどううまく使うかでなく、それを使って何をめざすかが大切」と。それができたとき、職員にとって本当に誇りが持て、やりがいのある職場になると考えています。
 ベッドの閉鎖で「いざというときには入院できる安心感」「病床を持ちながらの外来・在宅医療」という優位性はなくなります。
 しかし大泉生協病院との連携という新たな展開をはじめ、医療の質の向上をめざす西都保健生協の姿勢は、あくまで積極的です。